2014年3月24日月曜日

【シングル】第五世代と第六世代の環境比較

近頃「XYシングルはテンプレPTが減り様々なポケモンに可能性が出たから面白い」という声がある一方、「BWシングルに比べて構築の種類が少ないから面白くない」という相反する声をよく聞きます。

そこで、実際のところシングルプレーヤーたちはどのように考えているのか興味が出て来て、XYが面白いと感じるかどうかTwitterでアンケートを取ってみました。


結果として15件程度の回答しか得られなかったため、大多数がどのように考えているのかはまだ分かりません。
しかし数少ない回答も無駄にせず、私自身で考察した結果をこのブログで報告することに関しては需要があるのではないかと思い、この記事を書くことにしました。


アンケートは以下の形式です。

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【アンケート】XYシングル環境をどう思いますか?
A:面白い
B:面白くない
出来れば理由を添えて回答してください

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今思えば、こんなに雑なアンケートではなくもっとしっかり文面を考えてから投稿して方が良かったようにも思いますが、これでも15件分の興味深い主張が得られたので考察するには問題ありません。



■参考にした回答集

①A:面白い
メガシンカによる攻め偏重のワンパターン環境とは言い切れないと思います。私は受け主体のPTを使っていますが、きちんとした対策を取れば決して受けきれないわけではない、というのが今の環境への印象です。未だ黎明期でもあり様々な型を楽しんでます。

②A:面白い
5世代みたいにテンプレしか勝てないような環境じゃなくて、テンプレも中堅パも活躍できるところは評価できる

③A:面白い
面白いとは思うけど、5世代が神すぎたから相対的につまらないってのと、安定行動しづらいっていう点がオフ勢に受けが悪いって感じでは

④A:面白い
5世代に比べ、強力なポケモンに対するメタの自由度が高く、統一などの極端なパーティでない限り構築の自由度は寧ろ上がったと個人的には思っています

⑤B:面白くない
Bかな。新たな夢特性解禁による環境変化が無いため使用されるポケモンが収束されている。今はまだ大丈夫だがマイチェン出るまでこのままだとちょっと……。

⑥B:面白くない
ファイアローのようなポケモンの登場で、飛行抜群の虫タイプや格闘タイプのポケモンが大きく数を減らしたように思います。たった一匹のせいで多くのマイナーポケや虫ポケモンなどが数を減らすことはどうかな と思います

⑦A:面白い
まだまだ開拓の余地が多いので

⑧B:面白くない
個人的な考えなのですがメガシンカにより多くのポケモンがbw時代のパルシェンのような抜き性能を手に入れ、1ターンでも隙を見せるとパーティーを半壊させられてしまうほどの超火力で昔のようにサイクルを回すことも出来ず結果として考えることが減ったからです

⑨A:面白い
理由は受け構築が動きにくくなって素直に殴る構築が動きやすくなったからです

⑩A:面白い
BWに比べて多様性を感じます。

⑪A:面白い
ドリとグドラが息しなくなったから。もう少し言えば、行き過ぎた特殊のダメ低下によるラッキーゲーが減ったのと、行き過ぎた物理への鬼火とイカサマの通りのよさで、多くのポケモンがレートに出てきたから。



ここで考察するにあたって、各人が「面白いと思うかそうでないか」は重要視せずに第五世代から第六世代にかけてシングル環境が実際にどのような変化をしたかを考えることにします。


まずXYが発売されポケモンの種類、技の種類、特性の種類などの拡張があり、メガシンカシステムの登場、特性による天候の書き換えが5ターンまでとなる等の様々な仕様変更(変化した要素全てに関してはこちらを参照してください)があってシングルバトルの対戦環境も大きく変わりました。

環境が大きく変わったとするポイントは



Ⅰメガガルーラ、メガゲンガーを筆頭としたメガシンカシステムの導入によりPTの中に禁止伝説級の種族値、単体性能を持つポケモンを入れられるようになったこと



Ⅱ特性:はやてのつばさ により優先度+1からブレイブバードを撃てるファイアローの台頭



Ⅲ新タイプ:フェアリーの登場でドラゴンタイプ無効のタイプが登場



Ⅳ悪タイプ、ゴーストタイプの技が鋼タイプに等倍となり一貫性が強化



Ⅴでんじは、キノコのほうし等の仕様変更



Ⅵ特性による天候書き換えのターン数制限


またこの大きな変化により相対的にKPが変化したポケモンも存在します。

ⅰラティオス


流星群の威力が130、竜の波動の威力が85に下がり全体的な火力が抑えられただけでなく、悪タイプ、ゴーストタイプのKP増加、ゲッコウガの存在、ガルーラやクチートなどのメガストーンを持ったポケモンにトリックが効かなくなり不意打ちなどで楽に処理されてしまうため大きく弱体化しています。
そのためか大会KPでもかなりマイナーなポケモンに部類しています。


ⅱドリュウズ、キングドラ


天候の永続がなくなったため、天候ギミック軸のPT構築は大きく弱体化しました。それでもまだドリュウズを使う人やオムスターで雨を使う人は少なからず存在している印象です。


ⅲスイクン、ローブシン


瞑想、ビルドアップを積むポケモンはメガシンカポケモンの性能に押し負けることが多く数を減らしました。スイクンは絶対零度の対面型、ローブシンもチョッキやゴツゴツメット持ちの対面型が殆どになりました。


ⅳライコウ、霊獣ランドロス、クレセリア、ヒードラン


化身ボルトロスなどの電磁波が無効になり起点にされず打ち勝てることから元々のSが高かったことも重なりKPが上昇したライコウ
ガルーラやガブリアスのKPから威嚇の需要が高まり起点作成でもサイクル戦でも有用な霊獣ランドロスもKPが上昇
ガルーラ、ガブリアスのKP上昇から受けやクッションに使えるポケモン自体が数を減らし、三日月の舞でメガシンカポケモンを完全回復出来るクレセリアはグッドスタッフやトリックルーム軸PTなどでKPが上昇しています
ヒードランはフェアリータイプの一貫を1/4で打ち消せ、ファイアローに対する受け出しとして安定し、遅延やアタッカーとしても有用であるためかKPが上昇


ⅴガブリアス


XYシングル環境で現在圧倒的なKPを出すポケモン。メガシンカしないポケモンではこのポケモンがトップメタの筆頭でしょう。
型は襷でステルスロック+岩石封じの対面性能+起点作成を兼ねるものから、A+補正の鉢巻で、オボンなどを持たないHBクレセリアの受け出しを突破するもの、スカーフで殆どのポケモンに対して先に攻撃できるものまで多岐に渡りどんなPTにも入ってしまう程の汎用性を持ちます。


ⅵポリゴン2


第六世代に入り、強力な特性を持つポケモンが増えたためトレースの汎用性も相対的に上がりました。
現在は耐久型でイカサマを持っていることが多くガルーラなどを仮想敵としてゲンガーのお供で使われることが多くなっています。


では、実際のKPを見てみましょう。

■第五世代
2013年9月14日 第9回北大阪オフ http://d.hatena.ne.jp/endoff/20130916/1379292912
2013年9月22日 第26回シングル厨のつどいオフ http://d.hatena.ne.jp/single_chu/20130925/1380118580
2013年10月6日 第10回キツネの社mf http://silverfox151.blog28.fc2.com/blog-entry-129.html#more

■第六世代
2014年2月16日 第2回あめおふ http://rain-off.hatenablog.com/entry/2014/02/17/213501
2014年3月8日 第2回関西シングルFESTA  http://kansai-single-fes.hatenablog.com/entry/2014/03/12/024042
2014年3月9日 第2回ゆいおふ! http://d.hatena.ne.jp/moti_off/20140310/1394462527

第五世代は化身ボルトロス、キノガッサ、マンムー、ローブシンなどの単体性能を活かした対面構築と呼ばれるスタンダードからカバルドン+ドリュウズ+ラティオスやニョロトノ+キングドラ+マンムー、マンムー+カイリュー+ハッサム、バンギラス+クレセリア+ローブシンなどのテンプレと言われた強力な軸を持つパーティが数多く見られました。
またこの時期は構築のシステム面での完成度を追求すること、つまり強力なテンプレ軸を生み出すことこそが勝つための重要な条件であった印象を持っています。
そのためか他人がすぐに模倣可能な程の単純明快なPT構築は実績以上の注目を浴びることもありました。

ここで、アンケート回答②の主張のようなテンプレ化していくことをどう感じるかによって個人の面白さに違いが出たことが分かります。
BWこそ至高と思う人はテンプレ構築やテンプレ行動を組み立てその中で立ち回りを考えることが面白かったと感じるようです。
逆に、XYになってより面白くなったと思う人は、上記のようにテンプレの積み重ねから思考を始めることに自由度の無さを感じて面白くないと思うようです。

それはXY環境で度々言われている「択ゲーの多さ」をどう捉えるかとも関係していると考えられます。
ギルガルドのキングシールドなどを1:1の択ゲーと捉えれば、確かに今作ではそういった要素やメガシンカの扱いなどで択ゲーが多くなったと言えます。
その択ゲーの多さを面白いと感じる人は毎ターン思考を更新していくことを苦にしないはずです。
逆に択ゲーの多さから面白くなくなったと感じる人は択ゲーの多さから、安定行動を選択する思考量の増加を面倒に感じていると考えています。

しかし、アンケート回答⑧はこの考えと逆の主張をしています。
私はこの主張を第六世代になりメガシンカ(主にガルーラ)を受け切れて流せるポケモンが殆ど存在しなくなったことから、一度優劣が決まればそこからは詰将棋のような安定行動の連続で勝てることが多くなったため思考量が減ったと考え、それを面白くないと感じていると捉えました。

これに関しては概ね同意しています。
しかし私はそういった1ターンの重要度こそが急所率の増加とも起因して不本意な結果を嫌う人から面白くなくなったと感じる要素になっていると考えています。

そして、思考量の観点からも人によって面白味が違うことが分かりました。

私は第五世代の方が定石が多く思考しやすいと考えており、思考量の多さを嫌う人は第五世代を好んでいるのではないかと思います。

ここで、シングルバトルの各世代による戦術の変化をまとめます。
第四世代のシングルで様々な耐久調整などが考案され、サイクル戦メインで殆どのPT構築の受けと崩しのバランスが釣り合っていたとされる時代から、第五世代になると受けループの誕生と強力な崩しのギミックが次々と考案されてPT構築単位で受けるか崩すかの選択を迫られる極端な環境になったと言えるのではないでしょうか。

そして、第五世代終盤はやや崩し主体のPT構築が環境で優勢になっていき、互いに「どのように崩すか」を争うゲームになっていたと考えられます。

そこから第六世代でメガシンカの登場により受けが本格的に成立しなくなって来たことで、多くの人がより単体性能を高める方向に進み、結果として汎用的なクッションがクレセリアとポリゴン2しか残らなくなってしまい、そこからPT構築のアプローチが一本化していくことになったと考えています。


しかし私の考えでは、まだXYの環境がようやく固まってきた状況であり、ガブガルーラクレセの環境はBW初期にカバドリ環境であった時代とほぼ同じ状況と捉えています。
この先RSリメイクなどが発売されプール拡張が完全になった状況では、またBW2末期の環境と似たようなパワーバランスになっているのかもしれません。

それはまだ現状では議論のしようがないため、XYの隠し要素が全て解禁された時に、また結果としてどうだったかを議論することにします。



最後に、投げ槍な結論を出してしまい読者には物足りなさを感じさせてしまいましたが、これで以上となります。

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